
六本木でベンチャー企業に勤めているmishimaです。
Mi6代表の川元と前職で机を並べていた縁で、X-エックス-の手伝いをしています。私は社会人経験ちょうど7年目になった2016年4月に、大手メガバンクを退職し、設立4年目のITベンチャー企業へ転職しました。
入社時は財務部門を中心として管理系全般を行い、今では採用する側にも立っています。
今回は、実際に転職した自身のケースを参考に、ベンチャーのリアルな転職事情を採用する側の視点も踏まえて、ご紹介していきます。
なぜ大企業を辞めようと思ったのか?
本題に入る前に、まずは自分自身が大企業を退職した理由を紹介します。
私も川元と同じく、かつては大手銀行で営業マンとして働いていました。
銀行の法人営業担当(いわゆる外回りの融資課というやつです)として4年間勤務し、その後、ベンチャー投資という金融分野でも少し変わった仕事を3年間やりました。
周りからは、「キャリアアップのために転職したんですね、すごいですね」と言われますが、自分ではキャリアアップするために転職したいと思ったことは一度もありません。
キャリアの定義を捉えるのは難しいですが、仮にキャリアアップを「年を追う毎に給料が上がっていくこと」と仮定すると、間違いなく大企業に定年まで勤める方が賢いです。
私が大企業を辞めた理由は、むしろ全く逆の考えでした。
「自身のスキルが上がらなくても給料が上がる状況を続けてはいけない」という焦りが辞める決断をさせたのです。
もちろん、大企業だからと言ってスキル開発なしに出世することはまずありません。
しかし、入社6年目を迎えて大企業での社内作法が身についてくると、自分の能力の100%〜120%を出さなくても、会社の満足する成果が出せるようになってきたのです。
この変化で、最も大きなデメリットが「1年で最も長いであろう仕事中の時間が楽しくない」ということでした。
家族や養うべき人を抱えている人であれば、そんな理由で仕事を辞めるなんて考えられないかもしれません。
ですが、私自身も当時0歳と2歳の子供を抱える父親でありながら、ベンチャーへの転職を決断しました。
家族の心配よりも、これから10年、20年の間、日中の楽しくない時間と付き合っていくのは耐え難いと感じていたからです。
転職した今では、あの時大企業を飛び出したのは自分自身にとって良い選択だったと感じています。
ベンチャーへの転職を考えてから最初に起こした行動
さてここからは、実際の私の経験談を踏まえて、リアルなベンチャー転職事情をご紹介します。
(ベンチャー企業ってそもそも何?という方はこちら)
まず、ベンチャーに転職しようと決めた時、私が最初におこしたアクションは以下の3つです。
- 転職サイトに自分の情報を登録する
- 興味のある会社をリストアップする
- 今の会社を辞めた人の話を聞く
当然ですが、何も行動せずベンチャーに転職したいと思っているだけでは、実際に新しい世界へ踏み出す事はできません。
まずは、どんな会社があるのか、そこで働いている人は何を考えているのか、働き始めるとどんな喜び、苦労があるのかを自分自身でリサーチすることが大切です。
転職サイトに自分の情報を登録する
まずは自分自身の仕事観を整理するためにも、様々な転職サイトに職務経歴、仕事歴を登録することをおすすめします。
転職するという固い決意をアクションに起こす最も簡単な方法です。
また、一部の転職サイトでは、気になる経歴の応募者に企業の人事担当者がスカウトメールを送れるものもあるため、運が良ければ自分の情報を登録するだけで、面談のきっかけを掴めるかもしれません。
興味のある会社をリストアップする
転職サイトでの企業検索を行い、求人票を見ながら転職活動を進めるのが一般的です。
しかし、求人情報が出ていないからと言って、採用をしていないとは限りません。
多くのベンチャー企業は、「人は欲しいけど人事専任担当者はいない」状況であり、コーポレートサイト以外に採用情報がない場合も多いのです。
場合によっては、自社商品への問い合わせフォームだけで、採用情報がないけど、実は採用したいという場合もあります。
facebookに流れてきた知人の勤めている会社、面白いニュースリリースを出している会社など、とにかくこの会社で働いてみると面白そうだと思ったら、その会社のコーポレートサイトから直接問い合わせてみるべきでしょう。
今の会社を辞めた人の話を聞く
転職しようと考えている時、同じ不満を持っていて話し易い会社の先輩、同僚などに相談するのではないでしょうか?
それよりも、あなたの働いている会社を辞めていった人に話を聞いた方がよいと思います。
なぜなら、会社を辞めて新しい世界にチャレンジしようと考えているのに、今の会社を辞めたことがなくチャレンジしたことがない人に相談をしても、有益な情報は得られないからです。
特に、大企業であれば新卒からその会社に長年勤めている人の比率が非常に高く、そもそも転職経験すらない人ばかりでしょう。
採用応募について
応募方法について知っておくべきこと
ベンチャー企業では、上記4つのうち採用の優先順位付けを行っているところが多いです。
その優先順位は、
- 知人からの紹介(リファラル)
- 応募企業のホームページから直接問い合わせ
- 求人サイト
- 人材エージェントからの紹介
上記のように優先順位付けをする最大の理由は採用コストの違いです。
プロダクトの確立されていないベンチャーにとって人材採用の需要は常に旺盛です。
一方で、手元のキャッシュが少ない会社も多いです。
人材採用を人材会社などの外部に委託すると、採用が確定した際にその社員の年収1〜2ヶ月分を人材会社にイニシャルで支払わなければなりません。
見方によっては、人材会社経由でベンチャーに応募することで、自分自身の年収を初年度1ヶ月分削っているとも考えられます。
実際に、私自身は求人サイト経由での採用でしたが、入社月に年収1ヶ月分がPLの採用教育費にあがっているのを見て、意外に自社のコストを圧迫してるなぁと思いました。
採用される側も、採用する側の気持ちになって、どのルートから応募すべきかを考えることが重要です。
転職する理由は何なのかを確認する
企業側のリサーチをする前に、まずは自分が転職する理由を再確認すべきです。
・現職よりも裁量権のある職場で仕事がしたい
このような理由であれば、業種、業界問わずにまだ人数の少ないスタートアップを選ぶべきだと思います。
・とにかく自分がイケてると思うサービスを作っている会社にいきたい
この場合は、自分がさらに成長させたいと思うサービスかどうかにフォーカスすべきでしょう。
キャリアチェンジの成功・失敗(職歴に見えないスキルがある)
キャリアチェンジを伴う転職についてお話します。
例えばAさんがこのような職歴をもっていたとしましょう。
- 1社目:人材系コンサルティング(コンサルタント)
- 2社目:エンタメ業界(経営企画)
- 3社目:BtoBクラウドサービス(エンジニア)
3社目に一念発起し、未経験の業界でエンジニア職で活躍しているように見えます。
しかし、実際は学生時代にプログラミングスキルを習得していたことがきっかけで3社目に採用されているのです。
このように、学生時代や業後のプロボノ活動などで身につけたスキルがキャリアチェンジに繋がる可能性は高いです。
次に、Bさんの職歴が下記のような場合を見てみます。
- 1社目:人材サービス(コンサルタント)
- 2社目:業務支援サービス(法人営業)
- 3社目:製造業(社内IT管理)
こちらも未経験の分野にチャレンジしているように見えます。
しかし、実際は2社目の法人営業時に、製造業の業務フローをよく理解した上で、製造業を専門に業務支援システムの新規開拓を行った実績が評価されて採用されています。
このように、営業先の相手側の立場にキャリアチェンジするという事例も成功しやすいと思います。
どちらにも共通するのは職歴からは見えないスキルがあれば、キャリアチェンジを伴う転職も成功しやすいということでしょう。
採用する側は何を見ているのか?
自分達のやっている事業に興味をもっているか?
当たり前のことですが、応募企業のサービスに興味があるかどうかはとても重要です。
BtoCであれば、応募者が自社サービスを使ったことがない場合、いくら入社したいと言われても面接官の心には響かないでしょう。
BtoBであっても、自社サービスを売る立場の営業職、作る立場のエンジニア職などは、何を売るのか、作るのかをイメージできるぐらいには調べておくべきでしょう。
会社に足りないピースを埋めてくれる人か?
多くの企業の場合、既存の社員がいる中で新規にこういう人が欲しいという希望があり、新規採用をしています。
新規の部署を立ち上げてもらうための採用というケースは非常に稀でしょう。
採用側は「既存の社員がこういうスキル、性格であるから、次は自社にはいないこういう人が欲しい」と考えるはずです。
足りないピースを埋めるのが第一優先であるため、いくら優秀な人が応募してきても、自社に同じスキル持った人は採用しないでしょう。
クラウド会計システムを扱っている会社の「法人向け営業職募集」という求人に対して、同じ会計ソフト業界で法人営業の経験を持った人が応募したと仮定します。
応募要件には合致していますが、採用側が「今までは事業の立ち上げを優先して同じ業界の営業マンを多く取っていたが、今後は幅広い業界を攻めるため異業種で営業をやっていた人を積極採用しよう」と考えていた場合、不採用となることもあるでしょう。
経営が安定しているわけではないベンチャー企業では、総合職採用という枠はなく、今いる人材も生かしつつ足りないピースを埋めていく採用が多いのです。
逆に考えると、不採用だったからといって「自分のスキルが足りなかったから」と考える必要はなく、単に企業の潜在的なニーズとマッチしなかっただけと考えた方が良いでしょう。
成長を求めてベンチャーへ転職する
自身の成長のためにベンチャーへ転職したいという話をよく耳にします。
自分の意識の中で成長意欲をもつことは非常に良いことですが、会社側が自分を成長させることを常に意識してくれると考えて転職すると、現実とのギャップに戸惑うことでしょう。
経営が安定する前のベンチャー企業において、人を育てて事業を回すという考えをもっている会社は非常に少ないと思います。
大企業のように個人の成長を促すための練習の場がなく、常に本番の連続です。
「たぶんやったことないと思うけど、今のビジネスモデルの内容に合わせて販売契約書の内容を変更してもらえませんか?顧問弁護士にアドバイスをもらいながら一人でやってみてください。」といった話は日常茶飯事です。
但し、未経験の仕事を誰かに相談しながら、なんとか歯を食いしばって形にしていくことができれば、結果的に自分自身が成長できることはまちがいないでしょう。
優秀な人ならいつでも採用するのか?
どの会社でも優秀な社員が欲しいというのは共通の考えです。
しかし、採用する側される側のタイミングが合わないと入社には至らないものです。
実際にわたしも、自身の部署移動が一つのきっかけで前職を退職する決意を固め、同じタイミングで大型のファイナンスを構想していた現職で財務担当として採用されました。
入社後に聞いた話ですが、私が入社する直前に財務担当候補に1人内定を出すところまで話が進んだケースがあったようです。
しかし、その方は直前になって入社できないという意向を伝えてきたため、一旦財務部門の採用は白紙に戻ってしまいました。
上記の経緯があり、とても良いタイミングで受けに来てくれたと言われ、ベンチャー企業への転職はタイミングが重要だと感じました。
ベンチャーへの転職と給料
年収は上がる?下がる?
このブログの方向性を反映し、大企業からベンチャー企業へ転職するケースを仮定します。
転職時の年齢にもよりますが、30歳前後以降の転職であればほぼ間違いなく年収は下がるでしょう。
あなたの評価が低いからではありません。大企業の年収が高すぎるのです。
大企業は自社が30年後、40年後も存続しているのが当たり前と考え、定年まで働いてくれる前提で給料を決めています。
一方のベンチャー企業は、まずは会社そのものが来年、再来年も続けられることが重要であり、会社全体の収支バランスを考えて社員の給料を決めています。
場合によっては、給与水準が高くなりがちなポストは、採用そのものを控えることも多いです。
転職活動においては、給料の金額は気にせず、それ以上に働くことそのものが面白そうな会社と出会うことが一番だと思います。
がんばった分だけ給与をもらうのは難しい
少人数で経営している間は、ベンチャー企業の新規採用は非常に難しいです。
ある程度年収をあげて人材をヘッドハンティングしてくることもあるでしょう。
しかし、その後知名度も出てくると自社への応募も増えて、年収を抑えて新規採用ができるフェーズになります。
そして、社員数が10名〜15名ぐらいになると、どうしても社員間の給与水準にばらつきが出てきてしまうものです。
「自分の方が頑張っているのに何であの人より給料が低いのだろう」と考える人もでてきます。
しかし、よっぽどのことがない限り給与を下げる決断は難しく、必然的に社員間の給与バランスは個々のがんばりに応じた金額にはならないものです。
会社経営はチームプレーであり、給与に対して個人の評価を完璧に反映させるのは難しいと理解しておくべきでしょう。
ベンチャー企業へ転職して思うこと
今回紹介したのは、私が実際に転職を経験して感じたことです。
色々とネガティブな話も盛り込んでいますが、私自身はベンチャーに転職してよかったと思っています。
それは、なにより毎日の仕事にやりがいを持てるからです。
私が転職の際に現職の社長と採用面接をした際に、「財務部門としてこのようなミッションを実現してほしい」という話をされました。
しかし、その内容は今まで財務のプロとして働いてきた自分からはとても困難なものだと感じました。
同時に、やるべきことはとても多いが、これはやりがいのある仕事だとも感じました。
報酬や地位はひとまず脇に置いて、ワクワクしてやりがいがあると感じられる仕事をするのが、毎日が楽しくなる一番の方法だと思います。
ベンチャーに転職しようと考えている方は、給料やネームバリューにとらわれず、日々の仕事が楽しくなることを最終目標に転職活動をしてみてもらいたいと思います。
改めまして、Mi6では、起業家と心に火のある大企業ビジネスパーソンが仲間となる「X-エックス-」の運営を行っています。
X-エックス-とは?
”世界を変える仲間とツナがる”をコンセプトにしたギルド。
大企業とベンチャー企業が個人レベルで繋がり、仲間になる招待制の超企業コミュニティ。
完全招待制のコミュニティとなりますが、下記Facebookアカウントへメッセージを頂ければ、代表の川元が気軽にご説明させて頂きます。
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「日常を離れて本来の生き方について考えたい」という方がいらっしゃればぜひお待ちしております。