《ご登壇者》
吉田 行宏氏
株式会社アイランドクレア 代表取締役
株式会社ガリバーインターナショナル(現 株式会社IDOM)の元専務取締役で、『成長マインドセット』の著者でもある吉田行宏さん。20年間にわたって何千もの人々に向けて行ってきた研修の中でも最も大切な要素をぎゅっと詰めたのがこの著書です。
現在も25社以上の代表、役員、社外取締役、戦略顧問など幅広く手掛けられ、様々な企業と人の成長を実際に飛躍させている吉田さんが語る、人が成長するために必要なマインドセットとは。成長を阻害する心のブレーキの外し方とはー。
(※今回の車座では、この『成長マインドセット』を事前に読んだ上で皆様にご参加いただき、さらに一歩議論を深めるという形式をとりました。そのため、出てくる会話が本の内容が共有されている前提である点ご了承ください。)
目次
現在25社以上の重要なポジションに
吉田さん:みなさん、こんにちは。吉田と申します。
私はガリバーインターナショナルという車の買取・販売をしている会社の創業期からの経営メンバーでした。
ガリバーは2012年8月に円満早期定年退職し、今でも顧問をしております。
その後アイランドクレアという会社を設立し、新しい価値の創造をするために、ベンチャーの皆さんと挑戦し、世界に通用する100人の優秀な経営者を育てるということをミッション・ビジョンとして頑張っています。
今は25社以上の代表、役員、社外取締役、戦略顧問、エンジェルをやっています。
たとえば皆さんよくご存知で昨年上場したマネーフォワードの組織戦略顧問もやっています。
また最近有名になっているFincですね。
ここでは、先日、創立記念イベントで成長マインドセットをもとにした全社員研修をやりました。
あとガリバーが長かったので少しだけお話しすると、ガリバーは94年設立で、売り上げが2000億円を超え、社員数が4000名で今年の新入社員が480名です。
会場:すごいですね。
設立4年で上場しています。上場すると決めてからは実質2年でした。
ベンチャーブームやITブームもない時だったので、本当大変だったんですけど。当時としては最短で株式を上場させました。
年間の買取台数も20万台で画像で販売。
画像で車なんて買わないよねってほとんどの方がおっしゃると思うんですけども、それでも20万台以上、全国500店舗以上で展開しています。
特別な資本もなく設立10年未満で10億ドルの売り上げを達成した企業を『ハイパーグロースカンパニー(超成長企業)』といいます。
有名な企業としては、マイクロソフトやデル、グーグルなど世界でも十数社しかないらしいのですが、日本ではIDOM(ガリバー)だけではないかといわれています。本当に怒涛の成長でしたね。
一方で、Great Place to Workという『働きがいのある会社』ランキング調査ではだいたい20位以内に入っていたり、『ストーリーとしての競争戦略』という20万部以上売れている一橋大学の楠木先生のすごく有名な本で、戦略的な企業のケースとしても取り上げていただいていたりします。
『非常識経営』のガリバー
ガリバーの創業当初はさんざん「車ビジネスは自動車業界経験者でなくては無理だよ」と言われましたが、ほとんど自動車業界経験のない社員やフランチャイズの加盟店さんでこのビジネスを立ち上げました。
また「画像で車は売れっこないよ」と言われる中、「画像で売れないのはなぜ?」と問い、その売れない理由を徹底的に全部つぶしていきました。
「中古車店は多店舗化ができない」といわれるものの実際全国に多店舗化していき、「社長が二人ではうまくいくはずがない」といわれながら、当時上場企業としては初めて社長を二人とし、今でも順調にやってきました。
そのように、いろんな「非常識」なことに挑戦してやってきたのが、ガリバーです。
ガリバーでは本当に0-1から、1-100, 1000のステージを経験でき、役員として経営戦略・マーケティングやフランチャイズの責任者とか店舗開発とか新規事業とか、海外なども含めてCFO, CIOとかも全部やりました。
そういった経験をもとに今、いろんなベンチャーとかの支援をしています。
ガリバーは戦略面も優れていたと思いますが、実は、もうひとつの重要な要素として組織戦略があったと思います。
怒涛の事業展開の中でも、組織・人材作りにも大変力をいれており、その両輪で伸びてきたという背景があります。
その時の経験から現在、組織戦略に関する記事や講演の依頼や組織戦略顧問やアドバイザーの依頼を多くいただいております。
今支援先が25社以上になっており、もういっぱいでほとんどお断りしていると状態なのですが、そこをなんとか・・と頼まれることもすごく多いです。
以上が簡単な自己紹介でした。
またあとでお話ししますが、ある理由で『成長マインドセット』という本を書くことになりました。
みなさん、読んでみた感想は?
今回はみなさん事前にこの本を読んできてくださったということで、それについて話をすることで、また一段ステップアップできると思ってます。
せっかくチームになっていただいていますので、1,2分自己紹介と、読んだ感想をシェアしていただけますか?
会場:(自己紹介&読んだ感想を話し合う。)
吉田さん:では、どういうようなお話がでたか教えていただけますか。
新條さん ネットプロテクションズを経て、ドットライフを立ち上げ。「人生経験のシェアリング」サービス、another life.を運営。
ドットライフの新條と申します。よろしくお願いします。
まずご説明しておくと、吉田さんのプロモーションのお手伝いし、本をつくろうということで1年前ぐらいからご一緒させていただいています。
私が最年少なのでお前が言えっていうことで私になったのですが(笑)。
すごいシンプルに『アイスバーグ』についての話がとても勉強になっています。
成果がどんなメカニズムで生まれるかという話もそうですし、成長するということを再現性をもって科学するということが、経営者になって変数が増えた時にすごくできていなくて。
自分にとっての成長とは何かというのがまったくわからなくなったことがあったため、アイスバーグの話がとても腹落ちしています。
岩田さん 大手通信会社でR&Dに携わった後、経営変革プロジェクトにおけるUXデザイナーと社内ベンチャーの事業責任者を兼任。
大手通信会社に勤務している岩田と申します。
このチームは、大企業の方とベンチャー企業の方が両方いるのですが、小さい組織の中でも、大きい組織の中でも、この成長マインドセットの考え方・フレームがすごく明確に適用できるよねという話が出ました。
あと、うちの会社は残念ながら、ミッション・ビジョン・バリューが明確じゃないんですね。
だからそれを明確にしようというプロジェクトがまさに現在進行中です。
チームやひとりひとりの中で、ミッション・ビジョン・バリューが明確でないというのは僕自身も感じていて、そういうのをフレームとして明確にしていきたいと感じています。
吉田さん:ありがとうございます。
渡邉さん 金融系コンサルでマーケティング領域のコンサルタントとして活躍する他、アクセラレータープログラムの立ち上げなどに従事。
渡邉と申します。
今、金融系コンサルでコンサルティングの仕事を中心にやっており、その仕事と結び付けてどういうことを感じたのかということを共有したいと思います。
すみません、僕自身全部読めていないところがあるんですが、前半の、山登りはどのチームが成功しそうかみたいなのがあったと思うんですけど・・。
私が(成功するだろうと)選んでしまったのが、体力とかがあってまだやりきれないみたいなチームだったんです。
理由として、”メンバーのcapabilityは目標達成事由を満たしているから、あとは動機付けだけだ”みたいにメモで書いていたんですね。
コンサルタントってこういう発想をすごくしがちで、やっぱり地頭がいい人が良いみたいなところがすごくあって。
そういうことじゃないんだよなって反省するところもあり、もっとちゃんと本を読まなきゃなって感じていたところでした。
吉田さん:いやー、やっぱりみなさん気づきや感想のレベルがとても高いなと感じました。
書いて本当によかったなと思いました。
自分で成長のブレーキを踏んでいる人たちへ
ではさっそくお話に入っていきたいと思いますが、この『成長マインドセット』の話を長々とするより、なぜこの本を書いたのかという背景をちょっとお話ししたいと思います。
その次に、みなさんから読んでみてもうちょっとここを知りたいなどの質問などをお受けします。
まずなぜ書いたのかという話ですが。
実はガリバーの初期から今まで20年間研修を何千人としてきたのですが、ひとつだけ自慢があって。
この研修は朝10時から夜7時までかかる1日の研修なんですが、これまで寝た人が一人もいないんです。
会場:へえ!
だから本にしても、けっこう皆さんおもしろいって言ってくださるんだと思います。
なるべくたくさんの人に伝えたくて、まずOne on Oneでのアドバイスから初めて、それを少人数の研修にして、最大数百人の研修をやり、それでも限界があるということで書籍化しました。
最初は書籍化は無理だろうなって思っていたのですが、何人かの方に「できるんじゃないですか」と応援してもらって、一緒にチャレンジしてみたらけっこうおもしろい内容になってきて。
まず第1章だけ書いて、数名の方に読んでいただき、ヒヤリングしたらけっこう伝わっていたので、これはできるかもしれないと。2章、3章、4章、5章・・と書いてはヒヤリングもして、1年がかりで完成することができました。
内容はほとんど研修のものをベースにしていて、ほとんどのワークとかケースは研修と同じものを持ってきていますが、それを集合研修でなく、小説として体験していただくようにするのには大変苦労しました。
成長の原理原則というものを知らないために、とても可能性があるのに伸び切れていない人たちがすごく多いなと思うところが強くあり、そういう方達のお役に少しでも立てたらという想いでやりきることができました。
自分で成長のブレーキを踏んでしまっている人たちが多く、本当にもったいないといつも感じていました。
そのブレーキに関してですが、当初の研修では「悩みブレーキ」がメインだったんです。ただ、途中で「悩みブレーキ」だけでないもう1つのブレーキの存在を感じ始めてたんです。
ある企業の研修をやっているときに「これだ!」と発見しました。
「大きな子供ブレーキ」が企業・チームの成長を阻害したりいろいろ問題を起こしてるなということに気づき、これを新しいパートとして足したという背景があります。
またブレーキがあるならアクセルもあるはずだと。
自分で何がアクセルになっていたんだろうと思い返してみると、自分には2つありました。
それを言語化して、皆さんにも知っていただくことでもっともっと人生がよくなっていくのではないかと思って。
成長マインドセットの原理原則がいつも助けてくれた
そして、それらを含めたマインドセットとという概念と自分の理念や自分軸。
これがあるとあまり悩みがなくなるんです。私も考えることがあっても、悩むことはありません。
それは吉田さんが成功してきたからでしょうと言われることがありますが、そうではないんです。。
私は昔からあまり悩みませんでした。
壁にぶつかって苦労はたくさんしましたし、当然修羅場もありました。
その時助けてくれたのが成長マインドセットの原理原則と自分の理念や軸でした。
これらのことを含めて、自分のミッションであり、みなさんの成長のお手伝いを少しでもしたいなということで、そのツール・武器として書籍化をさせていただきました。
この間もdivの真子社長にとても気に入っていただき、テックキャンプの研修にも導入していただくことになりました。
この本って食べ物に例えると、見た目はあまりよくないけど食べるとすごく美味しい食べ物ですねって言っていただきました。本屋に置いてあっても、手に取られづらい本のようなんです。
自己啓発本か、とか「成長」ってそこまで大上段に言われても・・みたいな。
でも読んでみるとさらっと読めて、すごくおもしろかったですって言っていただける。
そういった難しさもあるので、無償トライアル版も配布したりして、少しでも多くの人たちに読んでもらいたいなと思っています。
別に印税欲しさにやっているわけでもないですし、世の中が少しでも良くなってくれればという想いで書かせていただきました。
この本は図やワークをやらないと意外とさらっと読めちゃうんですけど、できればしっかりやっていただいた方が気づきや学びは多いです。
さらに、やっていただくと分かったような気がするんですけど、実は知ってることとできることは違う・・ということも、本にもたくさん書いてあります。
読んでいただくだけでなく会社内で実践していただいたり、半年に1回ぐらい見直していただくとすごく効果があるのんです。
そのためにも、いろんなツール・手法を使ったりこういう場をつくってやっています。
今日はそういったことで、読んでいただいて出た疑問や質問をお受けしたいと思います。
グループでちょっと話し合って1個ずつ出していただいてもいいでしょうか?
全部自己責任100を目指す
高橋さん 大手事務用機器メーカー、ERP事業会社を経て人事や経理などの課題解決を手がけるフリーランスとして独立。
フリーランスの高橋でございます。
(本の中で)当事者意識に関する問いとして、4人いて誰に何%責任があると思いますか?というのがあると思います。
私は自分97%で、ほかの人たちに1%ずつという風に置いたんですよね。
自分の中では答えは「自分に100%責任がある」、そうあるべきだよねっていうことは分かっていたのですが、それでも少しずつほかの人たちに責任を分けるという答えを出しました。
私は仕事大好きだったので、100%でガンガンやってきたのですが、結婚したり子供できたりでそうはできなくなってきて、100は無理だなっていう風に感じたんですね。
でも本を読んで、やっぱり100だよねー・・って(笑)。
ご質問というよりかは、捉え方の問題なのかもしれませんが、もうひと深堀りしたいというところがあります。
吉田さん:ありがとうございます。
すごいですよね。いろんな企業で研修をやったときに、100って書くのって社長さんぐらいしかいないんですよね。普通の方は、多くても50ぐらいですかね。だいたい25ずつとかに分けて書いてあったりするので。
すでに99って書かれていて、知識としても実体験としても分かっていらっしゃるというのはある意味すごいなと、めずらしいなと思います。
で、ご自身が100でガンガンやられた時にうまくできなかったというのは別の要因だと思います。
100だということより、ガンガンいくというところで、あの人は何を考えているのかという配慮だったりとか、あとはリーダーでいうとマネージメントスキル。
リーダーに必要な要素というのがガンガンいくというところだけではなく、リーダーシップとともにフォロワーシップも大切なんですね。・・ちなみにどこでうまくいきませんでした?
高橋さん:お分かりの方も多いと思うんですが、家庭を顧みないということに妻が不満になるという。
吉田さん:なるほど。それはよくある話ですけど、たとえば私は今25社以上関わっていて、1社1社すべてが100のなんですね。
家庭も100なんです。仕事97で家庭3とかではなく、私の考え方は全部が100を目指しています。
今日も100です。みなさんに成長してほしいと本気で思ってますし、お手伝いしたいと真剣に思っているので、100なんですね。
自分の出せるものを何も出し惜しみしないで全て出す覚悟でやってます。
そういう割り切りで、100だからうまくいかないという体験は自分はないんです。
家庭生活円満のコツ
それとちょっと脱線気味になりますが、本にも書いてありますけど、会社の場合はミッション・ビジョン・中期目標・短期目標があって、それらのギャップを埋めるための戦略というのがあって、それを実行するというのが会社なんですね。
目的を達成するために集まった集団が会社ですね。
ただ家庭の場合は・・自分もうまくいかなかったんです。最初は。
それこそ、奥さんに何か言われると、「結論から言って」とか言っちゃうんです。
会場:笑
これは分かってらっしゃる方も多いと思いますが、だめなんですね。
仕事ではいいんです、目的や効率が重要なので。
私は家庭生活に目的やゴールはないと思っています。子育ては若干ありますが。自立した子供に育つサポートをするとか。
家庭のミッション・ビジョンっていうのは、「日々の暮らしで仲良く楽しく生活する」ことなんだと思います。
夫婦喧嘩や親子喧嘩して、何か成し遂げるものではないんではないかと。
奥さんに結論を求めちゃいけないんです(笑)。会話を楽しむのが目的でもあるんですから。
私ははご飯の時には3回「美味しい」って言うようにしてるんですよね。
会場:「やばい」
吉田さん:・・という風に、もう目的・手段が会社とは全然違うので。
高橋さん:「すごい・・まさかの角度からの学びです」
会場:笑
吉田さん:妻と喧嘩が多かった時は、話しかけられた時に、新聞も閉じてテレビも消すということを積極的にしてみました。
そしたら状況が少しづつよくなったんです。
会場:なるほど
川元:もうちょっと脱線する質問をしてもいいですか?
川元 三井住友銀行、SMBC VCを経て”世界を変える第3の繋がり”X-エックス-を運営する株式会社Mi6を創業。
ごはんが美味しくないときにはどう言うんですか?
吉田さん:美味しいとか、美味しくないとか関係ないんですよ。
会場:爆笑
作ってもらったことに感謝する「ありがとう」が「美味しい」なんです。
会場:深い・・。
吉田さん:99%美味しいって言って、1%ぐらい「すこしだけ塩少なくするともよいかも」って言う。
美味しいとかありがとうとか言わないで「しょっぱい」とかは言っちゃいけないです。
川元:勉強になりました。ありがとうございます。家庭のマインドセットを学びました。
吉田さん:形からでも入るべきなんです。別にそれは奥さんをバカにしてるわけでもなんでもなくて、何を嬉しいと思うかということ。
だから部下に対しても、敬意を示すとか、愛情を示すということはすごく大事で。
ちゃんと口に出して伝えるとか。そういう真剣さのことを自分は100%って言ってるんですよね。
できること、ありますよねっていう。夫婦関係だって、チームの関係だって。
「会社暗いよね」ってことは言えますけど、「会社って誰ですか?」っていうことですよね。
会社って建物のことですか?建物なら電気を付ければいいですよね。
「会社」って言って、名前を言いたくないんですよね。社長とか人事とか。
俺には責任はないと。
でも、あなただって、明るく挨拶することはできるでしょうっていうのが100%ってことなんで。
そんなすごいことじゃないんですね。
会場:ありがとうございます。
本質的な部分だから20年間変わらない
秋山さん 人材系スタートアップを経て「NP後払い」決済事業のネットプロテクションズに参画。
秋山 「成長」ってけっこう抽象的な概念だなぁって思った時に気づいたのが、吉田さんがアイスバーグを中心に持ってきてるじゃないですか。
いろんな考え方やフレームワークがある中でも、それを成長マインドセットの中心に置いたのはどういう背景なのかをお伺いしたいのですが。
吉田さん:自分は、昔から本質や原理原則というものを大切にするタイプで。
変わった子供だったんですけど。
中学校の弁論大会で選ばれて、その時のタイトルが「へそ」だったんです。
それは、物事の中心とか、へその緒とか、大事なもの、本質的なものを大事にして行こうということを象徴的に言いたくて。
そのように、物事の本質は何だろうというようなことを大事にしてきた中で、アイスバーグの例えが一番腹落ちしたんですよね。
結局スキルだけじゃだめだよね、想いも大事だよね、でも気合根性だけじゃだめだよね。
他もあるんじゃない?っていうところで、行動・振る舞いもかなり大事だよねっていう。
それに、また続かないと意味がない、習慣も大事だよねっていう。
ガリバーのバリューで信念12か条っていうのがあって。
常に挑戦を忘れず、常に笑顔を忘れず、常に真心を忘れずっていうのが12個あるんですが。
必ず「常に」って入ってるんですよね。
たまに笑顔っていうのはできても、常にっていうのは難しい。
そういうことが長い目で見てすべて揃ったら、結果は出るんです。
でもみんな早く結果を出したくて、テクニックに頼って、結果が出ない・・ってなっちゃうので。
大丈夫ですよって勇気づけるっていうのもあるし。
極論、そこまでやって結果が出なかったら諦めるっていうこともある。
まさに「結果は選択できないが、行動は選択できるですね」
そういうことをメッセージとして伝えてきた。
秋山さん:20年間やってきている中で、変わらずずっとそれを・・(伝えてきた)?
吉田さん:変わらないです。IT技術の進化などでテクニックが変わっちゃう部分はあるじゃないですか。
でも結局この『マインドセット』というのは人間がやってきていることなので、本質的に変わらないんですよね。
「ありがとう」と言われればうれしいし。
そういう本質的な部分だから20年間やってても変わらないし、「吉田さん、組織戦略で入ってください」という会社さんがすごく多いのは、そういうことなんですよね。
自分でどういう覚悟をするか
櫛田さん 大手シンクタンク、外資系生命保険会社、起業を経て介護系IoTベンチャーに参画。
櫛田さん:本の中で、自分の成長のベクトルについて書かれていたかと思います。
それを意識するっていいことだと思うんですけど、自分自身がこういうベクトルに向けて成長しているんだと思っても、周りの人たちからはそういう風に見えてないっていうギャップがあったときに、どうしていけばいいのかなって・・。
吉田さん:そうですね。結局マインドセットって、自分がどう思うか、どういう覚悟をするかが重要で、人がどう評価するかとかいうのはあくまで副次的なものでしかないんです。
人にどう見えるかばかりを気にし過ぎて、人の理念や見えなくなったり、自分軸ができない弊害が大きいので。
まあでも会社とかチームとかになれば、それは360度評価とか組織サーベイとかそういう数字で客観的に表れる部分もあるので。
それはそういう立場の方は会社にそういうものを取り入れて、周りからどう見られているのか見るのはひとつの指標にはなります。それが絶対ではないんですけど。
ただもうひとつの考え方としては、「自分は昨日より今日は成長できたかな、明日さらに成長するように頑張ろう」とすればよくて、誰かと比べて成長したいというのはあまりやらない方がおすすめなんですよね。
人それぞれ、信念や強み、目指す山やスピード感は違うので。
数字とかポイントで出るものをゲーム感覚で競うのはいいと思うんですけど、成長とかそういう概念的なものはその人自身の「価値観」なので、自分が頑張って成長できたと思えばそれが一番良くて。
「あなたは誰さんよりも成長してないよね」っていうのはよくないと思ってる。
ただ組織の場合は個人の内発だけに頼っていられない場合もあるので、やっぱり若干気づきを与えるためにそういったツールを使うっていうのはアリかもしれないですね。というのが私の考えです。
答えになってますか?
櫛田さん:なんでこんな質問したかというと、実際にそういうギャップがチームの中や組織の中で発生している場合、それはおそらく組織としてのパフォーマンスが出にくい状態だと思うんですよね。
それを、どうやってアライメントしていけばいいのかなっていうのがすごく難しくて。
吉田さん:そうですね。組織としての見える化というのは先ほど言ったような評価などをやるんですけども、一番大事なところは結局リーダーの覚悟や想いだと思うんですよね。
自分がかかわった組織でそれがあるのに悪くなったところはひとつもなくて。
結果を出しているリーダーは何ができているかというと、やっぱり想いとか覚悟とかしかないのかなと。
テクニカルに何かやったからというよりは、想いや覚悟が強くそれが伝わったのかなという。
具体的でなく申し訳ありませんが・・。
櫛田さん:いえ。ありがとうございます。
『アイスバーグ』は分割すればいい
川元:『アイスバーグ』の成長のさせ方っていうのがまだいまいちよくわからないのですが・・。
吉田さん:そうですね。その質問もすごく多くて、「アイスバーグの分割」というのがひとつの考え方と思っています。
自分の人格全部のアイスバーグの成長ってけっこう難しいんですよね。
だから、一個何か決めて、たとえば先ほどの「奥さんとの関係アイスバーグ」とかね(笑)。
たとえば自分は帰ったらまず靴そろえるとか、さっきの「美味しい」って言うとか。
そういうことからやってみると、「あれ、関係良くなったな」みたいな。
それはやっぱり奥さんと「仲良くしたい」という思いがあって、それをやって、習慣化させるっていうことなんですよね。
1回やっただけじゃダメなんです。信用してもらえない。
3回言うと「わざとらしい」って言われるんですよ。「意図的にやってるでしょ」って言われるんですけど(笑)。
でもね、言わないと「美味しかった?」って聞かれるんですよね。
会場:(笑)
吉田さん:「失敗した、言うの忘れた・・」みたいな時もあるんですが。
お互いの愛情とか信頼関係を毎日毎日構築してるみたいな感じですね。
「言われないよりいいよ」って言ってくれるんですよね、妻は。
そういう小さなことからやっていくのがいいかなって思います。
だから営業なら営業全体じゃなくて、この取引先には自分は信頼関係築けたかとか、ちゃんと想い持ってるかとか。
習慣的に何かやってるかみたいなことをチェックすると、比較的わかりやすいです。
そういう小さいものの積み重ねが結局自分なんで。
川元:だから「分割」っていうことなんですね。
吉田さん:そうですね。だから自分もだいぶ年も取ってきて、肉体も衰えてきて、将来寝たきりにならないようにっていうトレーニングのアイスバーグがあるんですよね。
それはそれで話すと長くなっちゃうんですけど。
そういう細かい工夫をするんですね。
ジム行くの大変なんで、とりあえずエレベーター使わず階段を使うとか。
お風呂入ったときにだけ自分は腕立てをやるとか。
そういういくつかの工夫でやってるんですよね。
でも習慣化するとけっこう強いですよね。
分割して一つ一つ積み重ねていく。
川元:アイスバーグの中で意識・想いとかも含めて循環していくみたいなところもあるんですかね?
吉田さん:循環はしていきます。するんですけど、分かりやすいのはやっぱり分割して、お風呂の後に腕立て伏せをやるというようなのが結果につながりやすいと思います。
奥さんともいい関係になったりとか、そういう積み重ねが自信にもなったりしますし。
コツがわかってくるということですね。
川元:土台の習慣だったり、その下にある想いだったりという要素を大きくしていくっていうことが大事なんですかね?
吉田さん:大きくしていくっていうのもありますし、下ができてないとだめって思わないことですね。
形から入るものもあるっていうことで。
だからあんまりこだわってここはだめだなって思わないことですね。
軽く小さなPDCAを回すっていう、そういうことだなって自分は思っています。
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ここまでが、吉田さんの書籍「成長マインドセット」を元にした、ワークやQ&Aのパートで、皆さんとても活発に議論や質問をされて、深い気づきや学びがあったようです。
そして、この後は、吉田さんがガリバー時代の組織経営や、現在多くの会社の組織を指導されている経験を元に、どのようにして「強いチーム」をつくるかを、こちらもワークショップや講義で大変盛り上がりました。
ただ、こちらのパートの内容は、吉田さんが現在書かれている次の書籍の内容を特別にご提供いただいており、残念ながら、こちらの内容は後日(吉田さんの書籍出版後)に記事化させていただく予定となります。(参加された方は、その内容が事前に学べてラッキーでした
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最後に主催の川元より。
「○○なことと○○なことは違う」
これが何を指しているか分かりますか?
・・・答えは「知っていることとできることは違う」です。
成長マインドセットの中の一節です。
まさにこの言葉の通りで書籍を読んでわかったという気持ちになりがちなことをできるレベルまで身体に落とし込むことの難しさを体感した時間となりました。
著者本人への疑問を他メンバーがぶつけて納得するやり取りを横で見ながら、自分でも疑問をぶつけてみる。
そういったやり取りを経て、できるレベルに一歩近づけたのではないかと思います。
(参加者の気づき・学び・感想例)
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・一番の学びは、経営者と自分の差分を理解できたことです。(BtoBベンチャー 営業)
・今回多くのモデルやフレームを武器として手に入れられたので、これを元にリーダーをフォローしつつ、自分自身もリーダーシップ持って経営変革していきたいと思いました。(大手通信 経営企画部)
・気づきとして大きかったものは、覚悟を決めるということです。自責100%ということと認識してます。。仕事を単にこなすのと、覚悟100%で仕事をするのでは全く違うと思いますし、ビジョンに対して覚悟を決めると、いろいろな雑念が消えるような気がしました。(IoTベンチャー 開発)
・成長のブレーキは、知らず知らずに踏んでしまっているのだなと気が付かされました。(大手コンサル)
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「振り返りの場を定期的に(半年に1回とか)することがとても重要です。」
(吉田行宏さん)
この貴重な学びとなった「車座」を一過性で終わらせないため、X-エックス-では半年後に同じテーマで「車座」を開催したいと思っています。
本イベントは主として「X-エックス-」のメンバー限定イベントとして開催していますが、
一般公募枠ということで5名限定で特定の条件の下に外部からの参加者も募集しています。詳しくはリンク先をご覧下さい。
次回は「凡人の起業法と事業戦略」について、エンジェル投資家・起業家の小原 聖誉 氏に登壇いただきます。
最後までご覧くださりありがとうございました!